オペラ夏の祭典2019-20『トゥ−ランドット』プレトークに行く

●2018年9月1日(土)、東京文化会館小ホールで開催された、オペラ夏の祭典2019-20『トゥ−ランドット』プレトークに行った。とても分かり易く面白い内容で、このオペラへの関心と期待が益々高まる思いだ。

●このオペラは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせて実施されるオペラプロジェクトの第一弾。東京文化会館新国立劇場の共同制作によるもので、2019年7〜8月に、両劇場、びわ湖ホール及び札幌文化芸術劇場での公演が予定されている。本日の企画は、このオペラに出演する砂川涼子さん(リュー役)、村上敏明さん(ポン役)から、同公演への意気込みなどを聞かせていただくもの。ナビゲーターは朝岡聡さんだ。

●この小ホールでは、つい先ほどまでオペラBOX『トスカ』の公演が行なわれ、砂川さん(トスカ役)、村上さん(カヴァラドッシ役)、そして朝岡聡さん(プレトーク、司祭役)も出演していた。大変お疲れの中でのプレトークであり、プロとは言え本当に頭が下がる。なお、正面の反響版には、「トスカ」で使った大きな赤い布が掛けられたまま。

●プレトークの時間は概ね75分間。朝岡さんがまずオリンピックとの関係を説明した後、いくつかの話題を投げかけ、お二人がこれに答えるという形でスムーズに展開した。以下、その中の主だったものを記してみたい。なお、記憶違いがあったらご容赦願いたい。

【朝岡さん発言主旨】

◇オリンピック憲章には、オリンピズムの根本原則として、「オリンピズムは肉体と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。」と謳われており、オペラの祭典2019-20もこれに基づくもの。

◇オペラとスポーツには相通じるところがあるのではないか?

◇演出のオリエはバルセロナ・オリンピック開会式の演出を手掛けた人物。彼は、このオペラの演出について、「ハッピーエンドで終わるはずはない」と言っている。出演者として、これをどう受け止めるか?

◇芸術監督の大野氏はオペラ指揮者としての経験が豊富で大変センスがある方。歌手の立場から見たらどんな人物か?

◇新演出のオペラは3回ぐらい見るとよくわかるのではないか?

【砂川涼子さん発言主旨】

◇リューはプッチーニの理想の女性であるので責任重大。大事に歌いたい。

◇オペラ歌手の仕事はアスリートに近い。日々の勉強に加え体も使う。フィギュア・スケートには強い共感を持っている。

◇オペラも、根本となる部分でお芝居としての理解が重要。役者としての勉強も必要だと考えている。

◇大野氏は、お話しも面白く大変お茶目、ピアノもお上手で、まさにスーパー・マエストロという印象。

【村上さん発言主旨】

◇ポンは、一般的な中国人の象徴。役人であるとともに一人の人間であり、故郷のことを話す場面もある。人間的に表現したい。

◇スポーツと同様に、オペラでも外国人と接することが多く、自分を高める貴重な機会になる。やはり、フィギュアとの共通点は多い。声(フィギュアの場合は技)だけでなく、自然な演技な体型(笑)を含めた総合力が問われている。

◇このオペラの終わり方については、ハッピーエンドの場合、リューの死は何だったのかということにもなりかねない。リューの死で終わるか、あるいは音楽を生かしつつ目の前で違う光景が現れる等、いろいろ考えられそう。

◇大野氏は、オールマイティな方。オケを高める能力にも優れている。歌手として自由に歌っていると思っていたら、マエストロの音楽に乗っかっていたというのがベストだが、大野氏はまさにそういう方かと思う。

◇今回は複数の劇場で上演される。劇場が違うと雰囲気は随分違う。複数回行くなら劇場を変えるのも良いかも。

●砂川さんとは直接お話ししたこともあるので、そのチャーミングで素晴らしいお人柄は存じ上げているが、村上さんのお話しを聞いたのは今回が初めて。見た目どおり大変温厚そうで、お話しも筋が通っていて分かり易い。とても頭が良い方だと思った。

●今回のプレトークにより、この「トゥーランドット」への期待がさらに高まった。来年の公演がとても楽しみだ。

以上