緑の光線 ( 映画レビュー )

1986年、フランス、エリック・ロメール監督

マリー・リヴィエール、リサ・エレディア、ヴァンサン・ゴーデーイエ、

ベアトリス・ロマン

仕事にも生活にもどこか満たされないパリジェンヌのひと夏のバカンスを、生活音

と自然音と会話で綴った日記風の物語。

 

7月2日のパリから始まり、8月4日のリュズの町で物語は終わる。

20代の女性デルフィーヌは友達と一緒にバカンスを過ごす予定だったのだが、

突然キャンセルされてしまう。

デルフィーヌはどうしてもバカンスを楽しみたくてシェルブール、知人のいる山、

海辺のリゾート地ビアリッツ、リュズへと出かける。

どこに行っても一人でのバカンスはつまらなくてパリに戻るが、退屈でまた出かけ

るという事を繰り返す。充実したバカンスを過ごしたいとデルフィーヌはあせって

いた。

でも彼女は自分には何かが欠けているとも感じていた。周りの人たちと違和感が

ありどこか馴染めなくて孤独と自責でいたたまれなくなる。

ビリアッツの町で老人たちがジュール・ヴェルヌの小説「緑の光線」の話をして

いた。デルフィーヌはその話がとても印象に残った。

空気が澄んだ美しい日、水平線に太陽が沈む瞬間に緑の光線があらわれるという。

光の屈折現象による稀な現象で夕日の最後の光だった。それは幸運のしるしで

あり、緑の光線を見た人は自分と相手の気持ちがわかるという。

やがてデルフィーヌは一人の男性と知り合い、二人で水平線に「緑の光線」があら

われるのを待つ。

「心が熱くなる時よ、来たれ」ランボーの言葉通り、熱くなる時がやってきた。

彼女の目から涙があふれてきた。

 

繊細で微妙で洗練されたパリジェンヌの薫りのする映画だった。