耕論災害、想定外への備え丸谷智保さん、横山隆一さん、目黒公郎さん有料記事

今朝の朝日新聞オピニオン面より。コラム記事も記事の写真に入れておきました。セイコーマートはともかく、他のコンビニフランチャイズチェーンでは、正直、こういう考え方はまるで出てきそうにもないですね、天災時にも閉店するな、と圧力だけはかけてくるみたいですけれども。

北海道電力ブラックアウト関連の記事はこちら

電源の問題等、牧田寛氏がかなり書いてくれていましたので、当blogでもこの同じ震災カテゴリーで取り上げています。

台風で関西空港が冠水し、その2日後には北海道胆振東部地震で、道内ほぼ全域が停電に。まさかの連続だった災害から1カ月。想定外とどう向き合うべきか、改めて考えた。

コンビニは支援インフラ丸谷智保さんセコマ社長

北海道を中心に、コンビニエンスストアセイコーマートを展開しています。道内に1100店。大手チェーンを抑え、道内では最多です。

先月6日の午前3時過ぎに地震は起きました。北海道全域が停電する中、札幌市の本社で各地の状況が分かり始めたのは午前7時ごろです。予想以上に多くの店が早朝まだ暗いうちから営業していました。95にあたる1050店舗が当日営業しています。

町全体の明かりが消える中、店には水や食べ物を求めるお客さんが殺到しました。店を開けてくれてありがとうという感謝の声がたくさん寄せられ、ネットでは神対応とも言われました。

事前の備えが功を奏したのだと思います。停電対策として非常用の電源キットを全店に配備済みでした。車のエンジンをかけ、シガーソケットから電源をとる。おかげで停電下でもレジを動かせました。配備したきっかけは2004年に北海道を襲った台風です。あのときにも停電が起きたので、対策が必要だと気づきました。

もう一つ好評だったのは、店内で作った温かいおにぎりでした。11年の東日本大震災をきっかけにガス炊飯器を備えた店を増やしていたため、停電中でも炊けたのです。

ただ、全道が一斉に停電するブラックアウトが起きるとは、さすがに想定していませんでした。牛乳やアイス、飲料水などをつくる工場も打撃を受け、一時的に品薄を招く原因になりました。冷凍センターにも、発電機を調達せねばなりませんでした。

それでも一定の物資を届けられたのは、やはり311の教訓です。道東の釧路市にあった物流センターに自家発電機能を持たせ、トラック用の燃料も備蓄していました。おかげで今回、被害の大きな道央を支援する形で多くのトラックを動かせました。今後も絶えず備えの見直しをしていかねば、と痛感しています。

コンビニは災害時に人を支えるインフラになっているのだと思います。自らも被災地の住民であるスタッフが今回、自発的に店を開けました。日頃から地域に密着しているから住民も困っているのではという思いやりが働いたのではないでしょうか。

セイコーマートは北海道や札幌市などと災害時の協定を結んでおり、物資供給を要請される立場にあります。今回も要請があり、最初に急造したおにぎりの半数は避難所向けに送りました。

災害対策では物流の確保が重要ですが、現状では位置づけが低すぎます。支援物資を積んだ民間トラックを行政が緊急車両と認定してくれるかどうかでも、物資が住民に届くスピードは変わる。行政には、私たちの力をよりうまく活用してほしいと思います。

聞き手編集委員塩倉裕

まるたにともやす1954年生まれ。旧北海道拓殖銀行などを経て、2007年にセイコーマート現セコマへ。09年から現職。

分散電源で地域の自立を横山隆一さん環境エネルギー技術研究所代表取締役

北海道で、ほぼ全域にわたる大規模停電ブラックアウトが発生しました。北海道電力で最大の火力発電所である苫東厚真とまとうあつま発電所の3基165万キロワットが高出力で発電していましたが、すべて地震で止まり、全道の供給力の半分以上を一気に失った。需給バランスが崩れ、影響が他の発電所にも及んだのです。

日本の送電基準では、送電線や変圧器、発電機の1カ所が故障しただけでは原則として停電してはなりません。重要な2カ所が同時に故障した場合でも、一部の停電にとどめることになっています。

今回は3基の停止で一見、想定外ですが、大規模発電所1カ所で集中的に発電していたからブラックアウトが起きたのです。本当はこういう運用をしてはいけないのにコスト優先だったのです。

自然災害では複数の発電機が同時に被災することがあると東日本大震災で学んだはずでした。それなのに、まさか自分のところで地震で3基が止まると思っていなかった。教訓に学んでおらず、技術者としてはミスですね。事前に最悪の事故と対策を考えて訓練する想定事故評価もしっかりしていれば、多少コストが高くても離れた場所でもっと発電させていたはずです。

事故時に需給バランスを保つ装置もうまく動かなかったと思われます。緊急時に本州から送電する北本きたほん連系線も容量が少なく、北電側の停電で止まってしまいました。泊原発が動いていたらという人がいますが、同じです。コスト優先なら原発に集中させていたでしょうから、敏感に緊急停止して同じ事態を引き起こしていたと思います。

このように、一極集中の発電は脆弱ぜいじゃくです。今は太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電力も系統の周波数が変動すると送れなくなりますが、少なくとも災害時に地元地域には送り続けられるシステムを各地につくれば、災害に強くなるのは明らかです。

電源を分散させて、地域で50ぐらいの電力を自給する自律型マイクログリッドで、欧州はその方向に進んでいます。東日本大震災では、東北福祉大学などで実験されていた仙台マイクログリッドが医療施設や介護施設に電気と熱を供給し続けました。

住宅の太陽光発電も、実は緊急モードに切り替えれば自家用に使えます。これと電気自動車のバッテリーを組み合わせて仮想発電所とするアイデアもあります。

地域の配電網はもうできています。系統からの電気が止まると停電するのは電源が地域にないからで、分散電源なら自立できます。現時点ではコスト面で割高ですが、電力会社から持ってくるばかりでなく、再エネや熱電併給を地域に導入すれば、技術が根付き、活性化にもつながるでしょう。

聞き手大牟田

よこやまりゅういち1944年生まれ。早稲田大学名誉教授電気工学、産学でつくる電力技術懇談会の会長も務める。

想像力で想定内広げて目黒公郎さん東京大学教授

南海トラフ巨大地震が起きれば最大32万人、首都直下型地震なら2万3千人を超える死者が出ると想定されています。少子高齢化と厳しい財政状況が続く中、我が国の地震対策は貧乏になっていく中での総力戦と言えます。

同じ地震でも対象地域の社会システムにより、被害の量と質は大きく変わります。総力戦に勝つには事前にシステムを整え、自分たちの体力で復興できるレベルまで被害を最小化することが重要です。

そのためには、脆弱な建物の強化といったものと、発災の前も後も適切な対策や行動がとれる人が必要です。しかし、ものの対策も人がやるので、より重要なのは人の育成です。

防災対策というと食料や水の備蓄を思い浮かべる人が多いですが、これらは生き残った後の対策です。食料を準備していても、地震の揺れで家が壊れて死んだのでは元も子もありません。火事や津波対策も同じです。まずは耐震補強や、家具の転倒を防ぐ対策を進めるべきです。自助ができなければ、家族も会社も守れません。

それに、我が首都圏の一般世帯を対象に行った調査では、日常生活用に家庭内に存在する食料が、7割の世帯で8日以上、残り3割も3〜7日間分ありました。これを災害時用にいかせば、災害時用の特別な備蓄はいりません。ただし、水や調理用の卓上ガスコンロなどは不十分なので計画的な備えが必要です。

人間は、自分が想像できないことに備えたり対応したりすることは、絶対にできません。災害に直面した際に、時間が過ぎるにしたがって、自分の周りで何が起きるのかを想像できる災害イマジネーションこそが、防災に最も必要な力だと私は考えます。

災害への対応は、時間帯や自分のいる場所、曜日、季節などによって大きく違ってきます。一日の行動パターンを書き出し、こういう状況だったらこうすると想像し、先取りする。それによって実際に災害が起きたときにきちんと対応できる可能性が上がります。また、家族にけが人が出たら自分が亡くなったらと想像するうちに、災害が自分ごと化されます。そうなれば、おのずと自分の頭で対策を考え、実行するようになるのです。

健常者がいとも簡単に災害弱者になる、という想像力も必要です。例えば、眼鏡を紛失したら?割れたガラスで足を負傷したら?健常者は潜在的な災害弱者なのだと意識することで、見える世界が変わってきます。

想像力の有無によって、その人の想定外の境界線は大きく変わります。災害が起きるまでの時間を有効に使い、想定内の範囲を大きく広げて欲しいと思います。

聞き手岡崎明子

めぐろきみろう1962年生まれ。専門は都市震災軽減工学。主な著書に地震のことはなそう絵本地域と都市の防災など。

参照元:

山口透析鉄(脱被曝)コンビニ24時間、福井豪雪でも短縮なしセブン拒否でオーナー死ぬかと思った弁護士ドットコムニュース

まさあじゅーるmasazure今回の震災で被災直後から営業して神対応と言われているセイコーマートですが、道外ですと埼玉と茨城にも店舗がありますよ。県民の方は万一に備えて場所をチェックしておくといいかも。

まぁ自分達の利益の極大化しか頭にないセブンイレブンセイコーマートでは、色差がありすぎますよね。(特にセブンイレブンは、この手の話、よく聞きますよ)

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下のコラム記事は、おまけでそのままリンクだけしました。